2026年1月の実質賃金、13か月ぶりプラス転換 物価下落と賃金上昇が寄与

2026年1月の実質賃金が前年同月比1.4%増となり、2024年12月以来13か月ぶりにプラスに転じた。名目賃金の伸びと物価の減速が同時に寄与し、家計の購買力回復に期待が高まっている。 厚生労働省が発表した毎月勤労統計調査によると、1月の名目賃金は前年同月比3.0%増と、2025年12月(改定値)から0.6ポイント加速した。市場予想の2.4%を大きく上回る結果となった。基本給にあたる所定内給与は3.0%増、ボーナスなどの特別給与も3.8%増と堅調な伸びを示した。ただし、サンプル替えの影響を除いた共通事業所ベースの所定内給与は2.2%増にとどまり、横ばい圏での推移となっている。
実質賃金のプラス転換は、名目賃金の上昇に加え、消費者物価指数が2%を下回ったことが大きく影響した。ヘッドラインの消費者物価指数(総合指数)で試算した実質賃金は1.6%増と2か月連続でプラスとなり、家計の実感に近い水準での改善が確認された。一方で、持家の帰属家賃を除く総合指数で算出した実質賃金は1.7%増と、前月から0.7ポイントの伸び鈍化が見られた。 今回の結果について、専門家は「物価の減速だけでなく、賃金サイドの上振れが実質賃金のプラスに寄与した点が評価できる」と指摘する。一方で、サンプル替えの影響を除いた指標では伸びが限定的であることから、「一過性の要因が含まれている可能性も否定できない」との見方もある。
今後の賃金動向については、2026年春闘の要求集計結果が3月5日に公表され、平均5.94%の賃上げ要求が示された。前年並みの水準であることから、一定の賃上げが継続する見通しだ。しかし、原油価格の急騰が新たなリスク要因として浮上している。3月9日にはニューヨーク原油先物が前日比20%以上上昇し、一時110ドル台に達した。エネルギー輸入依存度の高い日本にとって、原油価格の上昇は輸入物価や消費者物価への上昇圧力となり、実質賃金のプラス基調が揺らぐ可能性もある。 専門家は「供給ショックのリスクは以前より低下しているものの、地政学的リスクが価格に織り込まれている」と分析。原油価格の動向次第では、数か月後に日本のインフレ率が再び3%台に上昇するシナリオも想定される。実質賃金の持続的な改善には、賃金上昇と物価安定の両立が不可欠となるだろう。
