産廃処理会社が「無収入工程」を洗い出し価格化 顧客数3倍に増加

東京都足立区に本社を置く産業廃棄物処理会社、竹下産業は、売り上げに結びつかない業務を「無収入工程」と捉え、その価格化に取り組んでいる。同社の竹下敏史社長は、祖父が1933年に創業した会社を2011年から経営しており、現在の顧客数は就任時の約3倍となる約3000社に達したという。 竹下社長によると、業界特有の制約が利益率向上の障壁となっている。例えば、東京23区内の事業系一般廃棄物(燃えるゴミ)の処理では、1キログラムあたり46円(税込み)を超える請求が法令で禁止されている。一方で、ガソリン代や廃棄物処分費、その他の経費は上昇傾向にあり、収益を圧迫している。
また、都内の清掃工場は20カ所あるが、老朽化による点検や修理で工場が一時的に閉鎖されることがある。その際、廃棄物を別の工場に持ち込む必要が生じるが、収集場所と工場が離れている場合、処理受付時間に間に合わせるため高速道路を利用せざるを得ない日もある。しかし、高速料金は同社の負担となり、法令で定められた料金上限のため顧客に転嫁できない。 さらに、産業廃棄物(燃えないゴミ)の処分場では、リチウムイオン電池が原因の火災が発生するようになった。近隣の処分場が火災を起こし受け入れを停止した場合、遠方の処分場まで運搬しなければならず、輸送費が増加する。こうした事態に備え、普段から遠方の処分場にも一部廃棄物を運んでいるが、これもコスト増の一因となっている。
業務効率化のため、紙の書類を電子化するなどの取り組みも進めてきたが、限界も感じていた。そこで数年前から、手間やコストがかかるものの無償で提供してきた業務に価格を設定する「無収入工程」の見直しを開始。この取り組みが功を奏し、バックオフィス業務を「収入工程」に転換することに成功した。 同社には専任の営業社員はいないが、外部ライターを組織化した情報発信力を強化し、新規顧客の開拓につなげている。竹下社長は、こうした取り組みが顧客数の増加に寄与したと説明している。
