消費者心理、3月に最大の悪化幅 イラン戦争で燃料高 日銀の4月利上げ判断に陰り
日本の消費者心理が3月に急速に悪化した。政府の調査で消費者態度指数は33.3と前月から6.4ポイント下がり、月次の下げ幅としては新型コロナ禍が直撃した2020年4月以来の大きさとなった。中東でのイラン戦争に伴う燃料高が脆弱な景気に打撃を与え、日銀が4月27〜28日の金融政策決定会合で利上げに踏み切るかどうかの判断を難しくしている。 政府は基調判断を「消費者マインドは弱まっている」に引き下げた。2月は「改善の兆しがみられる」としていた。説明にあたった政府担当者は、物価上昇や燃料費高騰への家計の懸念が心理を押し下げた可能性があると述べた。
1年後に物価が「上がる」とみる世帯は93.1%と前月比7.5ポイント増え、そのうち5%以上の上昇を見込む層が53.4%を占めた。調査は3月6日から23日にかけて実施され、この間、2月28日の米国・イスラエルによるイラン攻撃をきっかけに中東情勢が激化し、原油価格が高騰した。イラン戦争で世界の原油・ガス流通の約5分の1が通過する要衝ホルムズ海峡が事実上閉鎖され、油価が急騰したことで市場は動揺した。 企業側の不安も強い。東京商工リサーチの別の調査では、78.7%の企業が今回の紛争による自社への悪影響を見込むと回答。最も大きな要因として原材料費やガソリン価格の上昇を挙げる声が多かった。調査期間は3月31日から4月7日。 これらの指標は、日銀が今月の会合で精査する要素の一つとなる。今回は、成長率と物価の四半期見通しの点検も行われ、今後の利上げのペースやタイミングを占う材料となる見通しだ。
植田和男総裁は実質金利が依然マイナス圏にあると強調。一方、エコノミストの間では、米国とイランの停戦が脆弱とされる中での不確実性が市場の変動性を高め、経済活動の重荷になり得るとの見方が出ている。第一生命経済研究所の新家義貴エコノミストは「心理がこれだけ悪化している局面では、下振れが一時的かどうかを見極めるため数カ月分のデータを確認したい」と語り、「4月の利上げは難しいだろう。不確実性が極めて高い中での決断はリスクが大きい」と述べた。 もっとも、円安やイラン戦争がインフレ圧力を強める中、日銀内では早期利上げを示唆するタカ派的な発言も目立つ。植田総裁は、緩やかな景気回復が続き、物価が持続的に2%目標に向かう道筋が維持される限り、追加利上げの可能性を閉ざしていないと明言している。市場参加者の多くは、紛争の長期化次第で4月、6月、7月のいずれかでの利上げに動くとの観測を示している。
