子どもの声をどう生かすか 学校現場の見直しと支援のばらつきが浮き彫りに

「ちゃんと並んで」「静かに」「大きな声で」。教室で飛び交う指示が当たり前の一方で、生徒の声を起点に学校をつくり替える動きも出ている。日本が30年以上前に批准した子どもの権利条約は、子どもに意見を表明する権利を認める。現場では、事細かな指導や過度な押さえつけが、かえって考える機会を奪いかねないという課題意識がにじむ。外で遊ぶ子どもに対し「声がうるさい」「危険な遊びをしている」「親はなぜ注意しないのか」といった視線が向けられる現状もある。 生徒の意見を取り入れた学校づくりの具体例もある。大阪のある公立学校では、制服は色とりどりに、図書館はくつろげる空間に、フロアの一角はカフェのように整えられた。学校の指針づくりにも生徒が関わり、日常の学びの場を自分たちで形づくっている。
支援の現場では、病気療養のために入院中の小中学生に学習の機会を提供する「院内学級」が、病院内の教室への登校や教員の病室訪問を通じて授業を行っている。治療で体力が落ちるなどの事情を抱える子どもたちの学びをつなぐ取り組みだ。誰もが同じ場で学ぶインクルーシブ(共生)教育の大切さが指摘される一方で、障害のある子どもの登下校にヘルパーらが同行する支援事業を年間を通じて利用できる自治体は、計82の政令・中核市のうち29市(35%)にとどまっていることが、共同通信の調査で分かった。 地域と学校の連携も広がる。福岡県飯塚市では、地元のまちづくり協議会が小学校と協力し、登校前の児童に週1回の朝ごはんを提供する全国でも珍しい食堂が効果を上げているという。家庭をめぐっては、「夏休みの宿題の丸付けを親にやらせる例が増えている」との投稿が、福岡県の元小学校教員の60代男性から寄せられるなど、学びを支える環境の見直しも問い直されている。
多様な背景を抱える若者を支える動きも続く。9月には、里親や児童養護施設など社会的養護を受けて育った若者たちが夢や未来を語る場となる催しが福岡市で開かれた。女子大学の存在意義を正面から問うシンポジウムも4日、福岡市東区の福岡女子大学で行われ、学びの場の在り方を考える機会となった。 主権者教育では、佐賀市立昭栄中が7月20日投開票の参院選に合わせ、実際の候補者の政策や政党の公約を吟味する模擬投票に取り組んだ。「民主主義って何?」という問いを、リアルな選挙と連動させて考える試みだ。 個人の挑戦もある。難病で寝たきりの中島寧音さん(23)は、インターネットを通じて遠隔でコミュニケーションをとり、夢への一歩を踏み出した。現在は福岡県太宰府市の筑紫女学園大学4年生として学びを重ねている。
現場からは、子どもの声を尊重する学校文化づくり、学びを支える制度の拡充、地域との連携強化など、課題と可能性が同時に浮かび上がる。見直しの波が押し寄せる中、各地の取り組みが次の一歩を探っている。
